ミヤ(MUCC)SPECIAL INTERVIEW -前編-
3月 26, 2024
デビュー当時のビジュアル系というイメージにはもはや収まりきらない、唯一無二の音楽性と世界観を追求しているMUCC。そのメインコンポーザーであると同時にプロデュースも手掛けるギタリスト、ミヤは7弦ギターの使い手としても知られている。その彼にジャクソンが誇る7弦ギター、PRO PLUS SERIES DINKY® MDK HT7(以下:MDK HT7)を弾いてもらったところ、彼の中にあったジャクソンのイメージが覆る新たな発見があったようだ。
ジャクソンは意外と正統派なところが強いんだとイメージが覆りました
― 音楽に目覚めたきっかけから教えていただけますか?
親が高校の音楽の教員なんですよ。だから子供の頃からピアノを習わされていたんですけど、『ファイナルファンタジー』とか『ドラゴンクエスト』とか大好きだったゲーム音楽の曲は上手くなるんですけど、クラシックピアニストとしては全然ダメでした。楽譜が読めるくらいにはなりましたけどね。それが小学5年とか6年とか。その後、エレキギターに興味を持つようになるんですけど、最初はX JAPANのYOSHIKIさんに憧れてドラムをやりたかったんです。でも家に置けないから、ギターだったら買ってあげるよって言われてギターを始めました。ただ、それ以前からクラシックギターを習っていた親について行って自分も弾いていたので、実は入りはクラシックギターなんですよ。エレキギターを始める以前の音楽リスナー歴は、J-POPと親が持っていたレコード。家に井上陽水さんの『氷の世界』を含め、フォークのレコードがあったんです。だから、70年代のフォークソングとX JAPANに同時に入っていったっていう(笑)。
― エレキギターを弾き始めて、すぐにのめりこんでいったんですか?
表現する手段としてはギターでも何でもいいと思っていました。16歳でバンドを始めてから、途中で2年ぐらいドラムを真剣にやったこともあったんですけど、このままドラムにのめりこみすぎて曲を作らなくなりそうだと思ったんですよ。だったらギターを持っていたほうが曲は作りやすいと思って、ギターに戻りました。同じ音階楽器のピアノをやっていたから、自分を表現するという意味ではギターが向いていたんだと思います。今でも作曲するツールという感覚でギターを使っているので、ギタリスト然としているかと言ったら、そうでもないとは思いますけどね。
― 最初はどんな練習をしました?
好きな曲を弾きました。例えばX JAPAN「紅」のイントロはクラシックギターをやっていたから弾けたんですけど、曲に入ってからのメタリックなフレーズはピック弾きも含め自分の中になかったものだから、そこを練習していくみたいな。ただ、X JAPANの曲はやっぱり速弾きがメインになってくるので、弾ける曲と弾けない曲が出てくるんですよ。そこでのめりこんで弾けるようになるタイプと、諦めて別のところに行くタイプがいると思うんですけど、俺は後者で、そこからBOØWYにハマって。こういう速弾きじゃないギターアプローチもあるんだってリズムギターを知って、そこからリズムギターの気持ち良さにのめりこみました。その時、Telecasterシェイプに出会ったんですけど、BUCK-TICKの今井寿さんが使っていたモデルのリバースのコンコルドヘッドとシャークフィンインレイがカッコ良くて、そういうギターが他にもあるのか調べたらジャクソンにもあって。ただ、当時の俺には刺さらなかったんです(笑)。
― なぜ刺さらなかったんでしょうか?
ハードロックやヘヴィメタルの人が持っているというイメージが強くて。でも、そういう“これ”っていうジャンルのイメージがついているメーカーってすごいと思うんですよ。そのギターを持っている人はメタルでしょって、そういう極端なメーカーのほうが個人的には好きなんです。だから、ジャクソンにもブレないというイメージはありました。ただ、個人的にはあまり接点がなかったですね。もちろん“俺のギター歴の中では”ですよ。だから今回、MDK HT7を弾かせてもらえて嬉しかったです。ジャクソンに対して、7弦ギターのイメージってあまりなかったんですよ。
― 実際に弾いてみていかがでしたか?
正直、いわゆるジャクソンの王道のイメージが7弦になったらどうなるんだろうって不安もありました。7弦ギターって6弦ギターの弦が単純に1本増えたわけではなくて、7弦ギターって楽器なんですよ。だから、7弦ギターをイチからちゃんと真面目に作ってないと、いいギターにならない。ジャクソンの6弦ギターの雰囲気が7弦ギターでも生かされていて、なおかつ7弦ギターとしていいものになっているんだろうかと思っていたんですけど、実際に弾いてみたらジャクソンの6弦ギターとは別ものという印象がありました。もちろん、ジャクソンらしいキャラクターはあるんですけど、弾き心地とか出てくる音のニュアンスはジャクソンが打ち出したい新しい部分なのかな。あくまでも俺の印象ですけど、どこのメーカーとも被らない。〇〇っぽいっていうのがちょっと思いつかないです。
― それでいてジャクソンらしさもある、と。
ハイフレットの雰囲気、弾き心地はジャクソンっぽいです。ジャクソンに対するイメージとして、ハイフレットが弾きやすいというのがあると思うんですけど、俺は真ん中が弾きやすいんですよ。ジャクソンのギターは、2~4弦7~15フレットぐらいのプレイアビリティに特徴があると昔から思っていたんですけど、そこは一緒ですね。作り方にどこか共通している部分があるんでしょうね。しかも今日、6弦のAMERICAN SERIES VIRTUOSOも弾かせてもらったんですけど、そこはまったく同じでした。ネックの形なのか、ボディとネックの持った時のバランスなのかわからないですけど、ただMDK HT7の7フレット以下の雰囲気は似ているものがない。だから新しい印象と今までのキャラクターが同時に来るというか、7弦ギターをずっと弾いてきた人間としては、どことも似ていないところがいいと思うんですよ。ファンフレットとかヘッドレスとか、今新しい7弦ギターがいろいろありますけど、それのどれとも似ていない。そこが良かったです。弾くまでは“昔の7弦ギターっぽいのかな”と思ってたんですけど、全然その感じはなかったです。
― 今後、どんな場面で使いたいですか?
ステージで使いたいです。ハイゲインなアプローチをする曲で使うギターが定まっていないので、ライヴで試してみたいですね。
― ルックスはいかがですか? Pro Plus Series Dinkyタイプでこういう2トーンは今までなかったそうです。
ポップで好きです。メタリックなスペックのギターは好きなんですけど、真っ黒だといかにもメタリックなので、こういう色ならいいな。ピンクとか深緑色とかがあってもいいかも。ポジションマークの入り方もユニークでいいですね。
― ジャクソンと言うとシャークフィンインレイが定番なんですけど、最近こういうドットものも新しいデザインとして取り入れています。AMERICAN SERIES VIRTUOSOはいかがでしたか?
歪み方に特徴があるというか、ギターそのものがけっこうゲインを持っているところも含めてジャクソンの王道って感じで、速いパッセージのフレーズが弾きやすいですね。ハンマリング、プリングもしやすいしアルペジオも弾きやすい。実は今、6弦ギターのメインを探しているんです。メタリックなキャラなんだけど、そこまでハイゲインじゃないギターを探しているんですけど、意外とジャクソンがハマるんじゃないかって。これまでは“ジャクソンってこうだよね”ってイメージがあったから選択肢に入ってこなかったんですけど、今回2本弾かせてもらって、意外と正統派なところが強いんだとイメージが覆ったので、いろいろ試してみたくなりました。そこは新たな発見でした。
― ジャクソンに対するイメージはかなり変わりました?
ブランドイメージとして損をしているところもあるんじゃないですか(笑)。老舗のメーカーとしてはカッコいいと思うんですけど、隠れている、いい部分がめっちゃある。そこを掘り起こして宣伝していったらいいと思いました。
― ミヤさんが使うことで変わっていくんじゃないですか?
そうですね。ギターって洋服と一緒でその時々で弾きたいものが変わるから、それに関して言うと昔からエンドース契約せずに、好きなものを好きなだけ使って死んでいければいいと思っているんですよ。その中の出会いは本当に巡り合わせなんで、このタイミングで出会えて良かったと思います。
(左)AMERICAN SERIES VIRTUOSO, STREAKED EBONY FINGERBOARD, MYSTIC BLUE
(右)PRO PLUS SERIES DINKY® MDK HT7
ミヤ(MUCC)
97年、茨城県にて結成。メンバーは、逹瑯(Vo)、ミヤ(Gt)、YUKKE(Ba)。2003年、シングル『我、在ルベキ場所』でメジャーデビュー。2021年10月にSATOち(Dr)が脱退し現体制に。2022年6月、現体制初のフルアルバム『新世界』をリリース。過去のアルバムを中心とした再現ライヴツアー〈Timeless〉を開催。2023年12月には東京国際フォーラム ホールAにて、結成25周年を締めくくるワンマンライヴ〈MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to『Timeless』&『WORLD』〉を行う。2024年6月にニューシングルをリリース。6月9日からは全国ツアーを開催する。
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