命(-真天地開闢集団-ジグザグ)SPECIAL INTERVIEW -前編-

10月 27, 2023

 

2022年11月に初の日本武道館公演を大成功させ、今年の夏は各地の音楽フェスで異彩を放った-真天地開闢集団-ジグザグ。10月4日にリリースされた最新アルバム『慈愚挫愚 四 -最高-』にも表れている通り、このバンドの多彩な作風にはヘヴィメタル的な要素も含まれている。華麗にギターを奏でるヴォーカルの命は、メタルに心酔し速弾きの練習に没頭した時期があるのだという。そんな彼がジャクソンの新製品「American Series Virtuoso」を手に入れた。前編ではこのギターの印象を存分に語ってもらった。

 

ジャクソンを持っていると、お、この人わかっているなみたいな

 

― 転生を繰り返していて現在0歳の命さんですが、音楽に目覚めたきっかけとして思い出される前世の記憶はありますか?

兄貴がバンドを組んでいまして、親父がアコギを家でかき鳴らしていたので音楽が身近な家庭だったんです。小さい頃、自分はそこまで音楽に興味はなかったんですけど。

 

― ギターを始めたのは小学生の頃ですよね?

はい。小学校の先生がアコギをみんなに教えていたんです。家にギターがあったから自分は何となくコードの押さえ方を知っていて、他の生徒よりも覚えるのが早かったんですよね。それで楽しくなってどんどん弾くようになって、ふざけたオリジナル曲みたいなものを歌うようになりました(笑)。本格的にはまったのは、カセットの4トラックのMTRを手に入れたのが大きいです。その前から二つのレコーダーを並べて録って音を重ねたりはしていたんですけど、中1の時、たまたまゴミ捨て場でちょっと壊れたMTRを拾ったんです。アコギの多重録音をやっているうちに、普通のポップスみたいにドラム、ベース、エレキギターの音も入れたくなって、新聞配達のバイトをしてお金を貯めてドラムマシン、シンセサイザー、エレキギターを買いました。

 

― 多重録音のツールとしてエレキギターを弾き始めたということですね。

そうなんです。工作とか絵を描いたりするのがもともと好きだったので、そういうことの延長ですね。

 

― 中学時代はフォークデュオを組んで、手作りのアルバムを作ったりもしていたんですよね?

はい。最終的に中学時代にCD-Rで3枚作りました。切った紙を別の紙に貼ってコピーしたり、スキャンしたりして、アルバムジャケットっぽいものも作っていたんです。コピーライトのマークとかも入れていましたね(笑)。

 

― (笑)。そういう中学時代を経て、高校の時にはまったのがヘヴィメタル?

はい。最初はイングヴェイ・マルムスティーンです。聴いた時に“えっ⁉どういうこと⁉これはやばいだろ…”ってなって、速弾きの教則本を見て練習するようになりました。当時はまっていたのはソナタ・アークティカとかメロスピ(メロディックスピードメタル)系でした。

 

― その頃に弾いていたギターはどんなタイプでした?

フロイドローズが付いているギターです。ソナタ・アークティカのギタリストのヤニ・リーマタイネンが当時使っていたギターが赤色で、それが美しくて憧れていたんですけど、高校生には買えないので中古で5万円くらいの見た目がちょっと似ているギターを手に入れました。当時はまさにギターキッズで、『ヤングギター』ばかり読んでいました。

 

― 歌うことに目覚めたきっかけは何だったんでしょうか?

“音楽の仕事をしたい”とはずっと思っていたんです。地元でレコーディングスタジオみたいなのを経営していて、楽曲提供をしている人と中学の時に出会って、その人にめちゃ憧れていました。だから最初はエンジニア系の道を目指そうとしていたんですけど、そういう仕事をするようになったとしても、バンドをやったことがないやつには説得力がないよなと。それで大分の音楽の短大に通い出したら声楽の授業があって、“いいね!声楽を本格的にやったほうがいいよ”と先生に言われました。

 

― 歌うこと自体はもともと好きだったんですか?

好きでした。バンドではずっとギタリストでしたけど、時々歌ったら評判が良かったりして。そういうのもあって“歌もいいな。本格的にやってみよう”と思うようになりました。でも、バンドで歌を本格的にやるようになったらギターが邪魔になってきて、“難しいギターを弾きながらこんなに難しい歌は歌えねぇよ!”って(笑)。その結果、ただのヴォーカリストになりました。

 

― 命さんの歌、とても素敵ですよ。ハイトーンでありつつ歪むあの声質は、憧れます。

あまりそれを特別に難しいと思っていないというか。もともとの声が歪んでいるので、叫ぶと喉のナチュラルエフェクターが作動するんです(笑)。

 

― (笑)。これまでに積み重ねてきた歌とギターの経験が一つになったのが、-真天地開闢集団-ジグザグということでしょうか?

そうですね。メタルバンドをやっていた頃のほうがたぶん、今よりもギターが上手いと思いますが(笑)。自分なりのギターソロしか弾けないところがあるんですよね。

 

― 「死神」のギターソロとか最高じゃないですか。あれは難易度が高いですよね?

弾くのは難しいかもしれないです。

 

― 憧れの眼差しで見ているギターキッズがたくさんいるはずです。

そう考えると、もっと練習しないと(笑)。

 

― 演奏スキルだけじゃなくて、人を惹きつける華があるのがギターヒーローですよ。

今までにギターヒーロー的な存在になった人たちも、テクニックに関してはもっと上手い人がいたはずですからね。そう考えると華って大事なんだと思います。

 

Mikoto Sub 1

 

― 新しく手に入れたAmerican Series Virtuosoは、華のある命さんにとても似合っているギターです。

ありがとうございます。ジャクソンは弾いたことがあったんですけど、自分のギターとして持つのは初めてです。“買いたいなぁ”と思ったこともあって、ついに手に入れてしまいました。

 

― ジャクソンはどのようなイメージでした?

こだわりのあるギタリストが弾いているイメージがありました。ジャクソンを持っていると“お!”と思ってもらえるのかもしれないです。服でもそういうのがあるじゃないですか? “お、この人わかっているな”みたいなのが。

 

American Series Virtuosoを弾いて感じた印象は?

まずはハイポジションの圧倒的な弾きやすさです。僕みたいなジャンルの音楽をやっていると、弾いているうちにどうしてもハイにいきたくなるわけです。無理に指を伸ばしたりすることなく普通にハイポジの6弦を弾けちゃうのは、このギターならではですね。

 

― この弾きやすさは、人間工学に基づいて設計された"ハンドシェイク"ヒールという新しい構造によるものなんです。

24フレットあたりも弾きやすいです。高校の頃は24フレットくらいまで使って弾きまくっていたので、童心に帰れる感じもありますね。今後、新しく作る曲が、メタルをやっていたあの頃に回帰する可能性もあるのかもしれない。

 

― ジグザグの曲で、このギターで弾いてみたい曲はありますか?

「死神」「Drip」「Cry Out -victims-」とかですかね。やっぱりそっち系に合っていると思います。

 

― 搭載されているフロイドローズがどのように活かされていくのかも楽しみです。

ギターソロの引き出しを増やすためにも、フロイドローズを使ってみたい気持ちは前からあったんです。ギュイーン!ってやるのはやっぱりカッコいいですし、ギターソロの始まりで使ってみたりするとカッコいいですからね。

 

― ネックは24フレットまでグラファイト補強ロッドを内蔵しているので安定感がありますし、サイドのポジションマークが蓄光なのもライヴで頼もしいと思います。

蓄光はいいですね。ライヴ中は予期せぬタイミングで照明が真っ暗になったりするので。あと、ジャクソンならではの形状のヘッドも、メタルという感じがしてテンションが上がります。やっぱり男の子なんで、鋭利なものが好きです(笑)。

 

― (笑)。色はSatin Black、Shell Pink、Mystic Blue、Specific Oceanがあるノですが、Satin BlackとMystic Blueを試奏していただきました。どちらが気になっていますか?

パッと見た時は黒かなと思ったんです。でも、実際に持った時にブルーも引き立って見えたんです。“どっちもいいぞ”って、なかなか悩ましいところです(笑)。ブルーは光が当たった時に紫っぽいような反射をするので、それもまた魅力的ですね。

 

― ドロップDのチューニングで試奏していましたが、音の印象はいかがですか?

セイモアダンカンのピックアップですし、メタル系の鉄板という感じがします。重たい音はしっかり重くて、アンプで鳴らした時の密度の高い感じが気持ちいいですね。クリーンにした時はほんまにクリスタルな感じで、上から下までちゃんとあるきらびやかなクリーンです。今っぽいクリーンの音だと思います。

 

― 新しいギターを手にするのは、やはり心躍るものがありますよね?

そうですね。高校の頃はお金もなかったから良いギターを触ることはできないし、“すごいギターや機材は使ってないけど、プレイは誰にも負けない”みたいなのがカッコいいと思っていたんです。こうやって新しいギターを手に入れることができるようになって、ようやくスタート地点だと思っています。10年以上、ギターを触っていなかった期間もありましたけど、“上手くなりたいな”という気持ちになりました。高校生の頃のような感覚が蘇っています。

 

Mikoto Prod

 


 

-真天地開闘集団-ジグザグの唄担当。メンバーは龍矢(Ba)、影丸(Dr)。2016年1月31日より本格始動。2022年11月、初の日本武道館公演を開催。近年は大型フェスにも積極的に出演し、着実にファンを増やし続けている。10月4日に、第四完全音源集(アルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』をリリース。11月からは過去最大規模となる全国ホールツアー〈全国開闢禊-最高- (ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)〉を開催する。

-真天地開闢集団-ジグザグOfficial Web

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