DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」
1月 10, 2025
2024年1月にメジャーデビューしたDEZERTが12月27日、バンド結成13年目にして初の日本武道館ワンマン公演を開催した。2024年1月にフルアルバム『The Heart Tree』を、同年9月にはバンドの軌跡を振り返るベストアルバム『傑作音源集「絶対的オカルト週刊誌」』をリリースした彼ら。この日のライヴは、そんなバンドの歴史を総括するような内容となった。
抜けの良いミドルハイが耳の奥へとダイレクトに飛び込んでくるPRO PLUS SERIES RHOADS RR24 MIRROR
定刻となり、「君の心臓を触る」というこの日のタイトルを象徴するかのように、ステージの中央後方に張り出されたLEDスクリーンには大きな心臓が映し出され、それが大きく鼓動すると同時にメンバーの千秋(Vo,Gt)、Miyako(Gt)、Sacchan(Ba)、SORA(Dr)の4人が姿を現すと、会場のあちこちから絶叫のような歓声が湧き上がる。
まずは『傑作音源集「絶対的オカルト週刊誌」』のリード曲「心臓に吠える」からこの日のライヴはスタート。心臓の鼓動をビートに組み込んだインダストリアルなトラックをベースに、4人のバンドアンサンブルが激しくドライヴ。ジャクソンのPRO PLUS SERIES RHOADS RR24 MIRROR(以下:RHOADS RR24 MIRROR)を抱えたMiyakoがヘヴィなギターリフをかき鳴らすと、詰めかけたオーディエンスが一斉にヘッドバンキングを始める。筆者は1階スタンド席で観ていたのだが、上下左右に激しく髪を振り乱すアリーナ席のオーディエンスの様子は圧巻だった。
緩急自在なSORAのドラミングと、地を這うようなSacchanの硬質なベースラインがプログレッシブな楽曲をよりドラマティックに彩り、その上でMiyakoのギターは高速カッティングからソリッドなリフまでセクションごとに重要な役割を担っていく。たった4人だけで演奏しているとは思えぬほど重厚なサウンドスケープの中にあっても、RHOADS RR24 MIRRORの抜けの良いミドルハイが耳の奥へとダイレクトに飛び込んでくる。
そして、特筆すべきはやはりヴォーカル千秋の存在感。“「君たち」ではなく、「君」と音楽をしにきました”とオーディエンスに呼びかけ、疾走感あふれるライヴの鉄板曲「Sister」では、天使のように甘い歌声から悪魔のような禍々しいデスヴォイスまで巧みに使い分け、楽曲に鮮やかなコントラストをつけていく。なお、この曲でMiyakoはステージの端から端まで走り回り、ピッキングハーモニクスを時おり交えた流麗なギタープレイを披露していた。
ここでギターを持ち替えたMiyakoが一度聴いたら病みつきになるオリエンタルかつトリッキーなギターフレーズを繰り出す「匿名の神様」は、アルバム『The Heart Tree』収録曲。アクセントを微妙にずらしたカオティックなバースから一転、サビでは〈教えてI want you / 答えてI need you〉と歌われるキャッチーなメロディにオーディエンスも自然と拳を突き上げている。
再びMiyakoがRHOADS RR24 MIRRORに持ち替えた「ミスターショットガンガール」では、Sacchanの重厚なスラップベースとのコンビネーションで音の壁を構築。裏拍にアクセントを置く、スカとお囃子をミクスチャーしたかのようなケレン味たっぷりのサウンドは、もはやDEZERTがV系バンドといったカテゴライズを易々と飛び越え、さまざまな音楽スタイルを貪欲に取り込んだ唯一無二の音楽を鳴らすバンドへと成長したことを如実に示している。
ロースモークがステージの床に立ち込める「Call of Rescue」は、まるで雲の上で演奏しているかのように幻想的。Miyakoは白いStratocasterに持ち替え、アームを駆使しながら広がりと奥行きを感じさせるギターサウンドを放っている。アルペジオでは弦の一つひとつが粒立ちよく立ち上がり、ハイポジションを多用した立体感のあるギターソロを披露していたのも印象的だった。
そして、人気曲「ストロベリー・シンドローム」ではMiyakoがRHOADS RR24 MIRRORに持ち替えて、ディレイをたっぷりかけた80年代UKネオサイケ風のサウンドを会場いっぱいに響かせる。この曲は〈トんでる脳ミソの上 / 大事なトコロが裂けた〉という、どこかシュールでコミカルな歌詞をオーディエンスとコール&レスポンスして一体感を高め、「「変態」」では“ヘンターイ!”という掛け合いコーラスを全員で合わせる。そんな、コミックバンドさながらのユーモア精神と、続く「私の詩」のような真摯かつロマンティックなミドルバラードが混在しているのもDEZERTの魅力であり、奥深さでもあろう。
「「遺書。」」をアカペラでシンガロングしたあと、“最高です武道館。あとは僕らに任せて”と千秋が告げ、「「君の子宮を触る」」「再教育」とハードな楽曲を立て続けに披露すると、負けじと激しいヘッドバンキングでそれに応えるオーディエンス。雄大な楽曲「TODAY」で本編を終了し、アンコールでは新曲「オーディナリー」を披露したあと、「「殺意」」「「秘密」」「「切断」」と彼らのレパートリーの中でもとりわけ“凶暴”な楽曲を畳み掛けてこの日のライヴに幕を下ろした。
“通過点でもなく終着点でもなく最高点でした。高いほうが気持ちいいに決まっているので、また明日から人生します”と、武道館のステージに立った心境を率直に語った千秋。悲願の武道館公演を遂に叶えた彼らが今後、どんな音楽を鳴らしてくれるのか今から楽しみだ。
【SET LIST】
- 心臓に吠える
- 君の脊髄が踊る頃に
- Sister
- 匿名の神様
- ミスターショットガンガール
- Call of Rescue
- さぁミルクを飲みましょう。
- 神経と重力
- ストロベリー・シンドローム
- 「変態」
- 私の詩
- ミザリィレインボウ
- 僕等の夜について
- 「遺書。」
- 「君の子宮を触る」
- 再教育
- TODAY
ENCORE
- オーディナリー
- 「殺意」
- 「秘密」
- 「切断」
Photo by 西槇太一
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