HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR
7月 9, 2025
昨年、アルバム『HYDE [INSIDE]』のリリース後に開催された〈HYDE [INSIDE] LIVE 2024 WORLD TOUR〉の続編として、6月21日にZepp Haneda (TOKYO)公演を皮切りにスタートした〈HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR〉。このツアーは日本国内を巡ったあと、海外へと向かう。HYDEを支える凄腕プレイヤーが集結している中、ジャクソンギターを愛用しているのがギタリストのYas Nomura。彼の演奏にスポットを当てて、初日公演の模様をレポートする。
American Series Soloist SL3でアグレッシヴかつ繊細なニュアンスを交えたプレイを発揮
スクリーンに表示されていた時刻が“16:66(17:06)”、悪魔の数字とされている“6”が3つ並んで迎えた開演。黒い幕が左右に開き、露わになったステージから満杯のフロアに向かって爆音が押し寄せる。演説台の上に立ち、「LET IT OUT」を歌い始めたHYDE。野獣の瞳のような電飾が輝くマスクを被りながら、バンドメンバーたちが放つサウンドは強烈。溢れ返る音の刺激によって会場内の温度が上昇するのを肌で感じた。Julian(Gt)、Tomohiro Miki(Ba)、かどしゅんたろう(Dr)、hico(Key)…凄腕プレイヤーが揃っている中、上手側でギターを演奏していたのはLAを拠点に活躍しているYas Nomura。ジャクソンのPro Series Signature Mark Heylmun RR24-7(以下:RR24-7)で刻む重厚なリフが、メロディアスなフレーズでは抜けの良い響きを帯びる。ロングヘアを振り乱しながら多彩なニュアンスを操る姿は、華やかな存在感を放っていた。
各曲に応じて、ほぼ毎回ギターを持ち替える姿は、演奏に対する彼の強い情熱と探求心の深さも感じさせてくれた。2曲目「AFTER LIGHT」で手にしたのはPro Series Signature Corey Beaulieu King V KV7Q(以下:V KV7Q)。歪みの中に明るいトーンを程よく滲ませるサウンドキャラクターが、疾走感に溢れる曲にフィットしていた。そして3曲目「I GOT 666」ではX Series Soloist SLA6 DX Baritone(以下:SLA6)をプレイ。Vシェイプで7弦仕様である先述の2本とは異なり、このギターは6弦仕様。漆黒のフォルムから放たれる低音は、重厚でアグレッシヴ極まりない。プレイをしながらヘッドバンギングをしていたバンドメンバーたちも、圧倒的なパワーをまざまざと感じていたのではないだろうか。
HYDEの「一緒にぶっ飛びましょう!」という言葉とともに雪崩れ込んだ「DEFEAT」でYas NomuraがプレイしたのはAmerican Series Soloist SL3(以下:SL3)。Riviera Blueのボディが鮮やかなこのギターは、クリアな高音域、抜けの良い中音域を兼ね備えバランスが際立っていた。彼がこのギターに寄せる信頼と愛着は、とても大きいのだろう。MY FIRST STORYとのコラボ楽曲のHYDEソロバージョン「永久 -トコシエ-」でRR24-7をプレイするなど、他のギターも随所で活躍していた中、もっとも登場回数が多かったのがSL3だった。
「みんなで一つになって暴れまくります。全員の脳みそが上下するのを見せてくれよ! 3・2・1でジャンプしますよ」
HYDEの言葉に応えて観客が激しく飛び跳ねた「6or9」で冴えわたった重低音。「MAD QUALIA」では明るいトーンを発揮しながら観客のシンガロングと美しく融け合っていた。
リンキン・パークのカヴァー「Given Up」ではSatin Shell PinkのAmerican Series Virtuoso(以下:Virtuoso)を使用。その後はSL3の活躍の機会が多かったが、「SOCIAL VIRUS」ではConcept Series Limited Edition DK Modern MDK HT8 MSが登場。鼓膜はもちろん内臓も震わせる爆音、重低音が猛威をふるい、「もっとカオスが見たい。カオスを見せてくれ!」とHYDEが煽ると、人々が激しく身体をぶつけ合うウォールオブデスがフロア内で発生。そして「MIDNIGHT CELEBRATION II」では再びSL3が活躍。フロイドローズも駆使しながら、アグレッシヴかつ繊細なニュアンスを交えたプレイを発揮していた。
本編を締めくくったのは、アルバム『HYDE [INSIDE]』でもラストを飾っていた「LAST SONG」。瑞々しいピアノの伴奏でHYDEが歌い、ギター、ベース、ドラムが合流。起伏に富んだ展開を遂げる中で激情をほとばしらせるこのバラードは、SL3から放つ狂おしいメロディも鮮烈な印象を残してくれた。真っ赤なライトで包まれたステージに大量の紙吹雪が降り注ぎ、ラウドでありながらも情感豊かなバンドサウンドが高鳴る風景が美しい。視覚と聴覚を揺さぶる刺激に包まれながら歌い続けたHYDEが、床に倒れ込んでエンディングを迎えた瞬間、凄まじい歓声がステージへと送られた。
アンコールは、バンドメンバーたちによるセッションからスタート。ドラムソロが先陣を切り、他のメンバーたちも加わると、観客が興奮しながら沸き立った。Julianとのツインプレイ、スリリングな掛け合いも楽しんでいたYas Nomuraが手にしていたのはRR24-7。競い合うかのように速弾きプレイを交わす場面も交えながら「PANDORA」へと突入すると、妖艶な歌声が聴こえてきた。HYDEが現れたのは何と2階席。通路をゆっくりと歩きながら歌い、1階フロアに向かってウォーターガンを度々発射しながら観客を熱狂させていた。
バンドメンバーたちとのリラックスしたムードのMCも繰り広げられたアンコール。「フェスとかで応援してもらえると、すごく嬉しいです。今年もいっぱい楽しみます。ついて来てください」というHYDEの呼びかけに対する歓声が力強かった。そして、「もっとはっちゃけられる?」という言葉に応える熱気で満たされたZepp Haneda (TOKYO)。「夢幻」でYas Nomuraが手にしたのはSL3。1音1音が豊かな輪郭のクリーントーンが、哀愁を帯びたメロディを美しく浮き彫りにしていた。そして、「GLAMOROUS SKY」と「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」ではVirtuosoをプレイ。重低音で刻むリフ、アーミングを交えたドラマチックなメロディを繰り出しながら、ライヴのクライマックスを彩った。横並びになったJulianとYas Nomuraが同タイミングでギターを後方に跳ね上げて回転させるパフォーマンスも飛び出し、人々の興奮状態はいよいよ絶頂に到達。「これから世界を回ってくるぞ! いいもん見せてくれよ!」というHYDEの言葉に観客が全力で応えていた。このツアーは今後、日本国内を巡り、中南米、アジア、ヨーロッパでの公演も予定されている。各地域の観客を激しく魅了するツアーとなるに違いない。
【SET LIST】
- LET IT OUT
- AFTER LIGHT
- I GOT 666
- DEFEAT
- BLEEDING
- TAKING THEM DOWN
- ON MY OWN
- 永久 -トコシエ-
- 6or9
- MAD QUALIA
- Given Up(Linkin Park)
- DEVIL SIDE
- SOCIAL VIRUS
- MIDNIGHT CELEBRATION II
- LAST SONG
(ENCORE)
- PANDORA
- 夢幻
- GLAMOROUS SKY
- SEX BLOOD ROCK N’ ROLL










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