MUCC TOUR 2024「Love Together」

7月 1, 2024

 

ロックバンド、MUCCが昨年12月31日のカウントダウンライヴ以来、5ヶ月と9日ぶりとなるライヴを6月9日=“ムックの日”に東京・渋谷Spotify O-EASTで開催した。6月4日にリリースした最新シングル『愛の唄』のリリースツアー〈Love Together〉の初日であると同時にファンクラブ会員限定のスペシャルライヴでもあったこの日の模様を、ミヤ(Gt, Cho)が新たに導入した3本のジャクソンギターを中心にレポートする。

 

ドライブ感を出しながら、太い音色で観客の気持ちに火をつけるジャクソンMDK HT7

 

ステージを隠していた緞帳(どんちょう)が開き、文字通りライヴの幕開きを飾ったのは、ヘヴィなギターリフとメランコリックでノスタルジックな歌メロがMUCCならではと言える「睡蓮」だった。ハーフサイズのマイクスタンドを持ち、官能的な歌声を響かせる逹瑯(Vo)の隣でミヤ(Gt, Cho)はソリッドにコードを刻む。ダンサブルに展開していくバンドの演奏に観客がさっそく跳ね始めると、“溜まってんだろ⁉”と逹瑯が不敵に笑いながらバンドはゴシックかつメタリックな「猿轡」、ポップなロックンロールナンバーの「謡声」を、楽曲の振り幅を見せつけるようにつなげていった。

 

「謡声」でミヤが持ち替えたギターは、フランスのテクニカルメタルバンドGojiraのギタリスト、クリスチャン・アンドリューとジャクソンが共同で作ったアンドリューのシグネイチャーモデル、Pro Series Signature Christian Andreu Rhoads RRT, Ebony Fingerboard, Natural(以下:Christian Andreu)。ブリッジミュートで刻むバッキングのフレーズは歪みをかけながら、ミッドがグッと前に出たウォームな音色という絶妙な音作りが印象的。その一方でギターソロはリバービーな音像の中、フレーズをきらめかせてみせる。出音のインパクトも申し分ない。ミヤは新たに導入したギターをまるでアピールするように、逹瑯以上にステージを動き回った。ナチュラルカラーを生かしたVシェイプのポプラボディが、まばゆいライティングに映える。

 

早くも序盤で披露した新曲「愛の唄」でも、ミヤはChristian Andreuをプレイ。官能的な魅力を持つMUCCらしい聴かせるロックナンバーだ。歪みをややキツめにかけ、歯切れの良いバッキングの音色を立たせたミヤはその一方で、クリーントーンで鳴らしたコードの音色を絶妙に揺らして、楽曲が持つ妖しいムードを演出する。倍音の響きを生かしたギターソロは、まさにメズマライジングだ。

 

「おひさ。5ヶ月ちょいぐらい? 寂しかったでしょ? 今日は思いっきりハードリハビリ。いい感じに君たちの錆ついた体に油を差していこうと思います。踊って、叫んで、楽しんでいってください。よろしく!」(逹瑯)

 

その言葉通り、中盤はイントロに観客が悲鳴を上げた「G.G.」から、YUKKE(Ba)のベースプレイも聴きどころだったMUCC流ファンクの「パーフェクトサークル」を含むダンサブルな曲の数々をたたみかけるようにつなげ、観客のシンガロングとともに大きな盛り上がりを作っていく。そんな中盤を締めくくった「ニルヴァーナ」は、爽やかさと切なさが入り混じるギターロックナンバーだが、キャッチーな歌ものという印象の裏でさまざまなテクニックを駆使しながら、ミヤが閃かせるギタープレイも聴き逃せない。

 

「30周年に向けて走っていこうと思います。ここからツアーに行きます!」(逹瑯)

 

レーベルの移籍も含め、バンドが再び精力的に動き始めたことを今一度、宣言してからの後半戦は、まるでジャクソンのショウケースの趣だった。

 

哀愁のロックナンバー「B.L.U.E」でミヤがシャークフィンインレイ含め、メタル然としたルックスを持つAmerican Series Soloist SL2MG HT(以下:SL2MG HT)を手に取り、ソリッドな音色で鳴らすヘヴィなリフと、高音の伸びを心地良く聴かせるフラッシーなソロという巧みに音色を使い分けるプレイで魅了する。

 

続く「KILLEЯ」では、黒く縁取りされた真紅のボディが目にも鮮やかに映えるPro Plus Series Dinky MDK HT7(以下:MDK HT7)を初披露。このギターを試奏した時の“ハイゲインなプレイに使えそう”という言葉通り、歌謡メロディとメタリックなサウンドの組み合わせがMUCCの真骨頂を思わせるこの曲の魅力を、際立たせるにはうってつけという判断だったのだろう。サビの4つ打ちのリズムに合わせ、踊り狂い、シンガロングの声を上げた観客にヘッドバンギングさせたスラッシュメタルパートでは、この日一番と言える7弦ならではのヘヴィなサウンドを轟かせた。それでもコードがしっかりと聴き分けられるほど、出音がクリアだったことも忘れずに書いておこう。

 

ブリッジミュートで刻んだバッキング、タッピングを駆使したソロともにメタリックなプレイを閃かせた「零」、爽やかなギターロックの「フライト」でもミヤは続けてMDK HT7をプレイ。後者のアウトロに加えたギターソロでは、シンセを思わせる音色を鳴らしてみせる。

 

本編を締めくくったのは、その「フライト」以上に観客のシンガロングとともに盛り上がったアンセミックな「TONIGHT」。三たびSL2MG HTを手に取ったミヤは、メタリックな音色でコードリフを刻む。低音弦の響きがズシッと重い。倍音の響きを生かしたソロにつなげた、クリーントーンのアルペジオの立ち上がりの良さも聴きどころだ。そして、最後は轟音の中、ギターソロとともに伸びやかな高音を響かせた。

 

「久しぶりだね。(ライヴハウスに)おかえり! マジすごいぜ!」

 

アンコールを求める観客に応え、ステージに戻ってきた逹瑯は、熱狂的に盛り上がった観客を讃えるように快哉を叫んだ。そして、MUCCのFCキャラクター“チャッピー”も交え、メンバーたちは本番中のハプニングを振り返りながら、トークをたっぷりと楽しませると、“思いっきり激しいのを用意したんで、遊んでいこうな”(逹瑯)とさらに3曲、逹瑯の言葉通りパンク~ハードコア色の濃い曲を披露し、最後の最後まで観客をとことん暴れさせたのだった。

 

その一曲目の「名も無き夢」でミヤはMDK HT7をプレイ。歪みを抑え、ドライブ感を出しながら太い音色で鳴らしたそのサウンドは、メロコアを思わせるドラムの2ビートとともに観客の気持ちに再び火をつけるにはぴったりだった。

 

この日、ミヤは前述したジャクソンの3本に加え、計6本のギターを使用した。この日のジャクソンは、歪みも含めモダンで、音がぎゅっと締まっている印象があったことを最後につけ加えておきたい。

 

Micc Live 2024 H

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